タンパク質の電気泳動について

SDS−PAGE

  タンパク質は、多数のアミノ酸がペプチド結合したもので、そのアミノ酸の数(アミノ酸の種類は20種)や組み合わせはタンパク質によって違います。たんぱく質を分離する方法の一つにSDS−PAGEがあります。これはアクリルアミドと呼ばれる化合物で出来たゲル(寒天のような篩い構造のもの)中にタンパク質を通過させる(泳動させる)ことで、一定時間での移動度とタンパク質を構成するアミノ酸の数(別に分子量で表現する)が比例することから、タンパク質を分類する方法です。しかし通常、タンパク質は、アミノ酸の残基同士が結合することで立体構造をとっています。この立体構造がタンパク質の機能の源、たとえば酵素の活性、なのですが、この場合、分子量がそのタンパク質の大きさに比例しない場合があります。そこで、SDS−PAGEでは、たんぱく質をアミノ酸残基同士の結合を切ることで、アミノ酸の多数結合した紐の状態にしてしまいます。これで、タンパク質の大きさと移動度が比例します。すなわち、長い分子ほどゲルの篩いの目に引っ掛かって移動度は小さくなり、短い分子はどんどん先へ行ってしまいます。しかし、もう一つ問題があります。アミノ酸には正に荷電するものや負に荷電するもの、中性のものがあります。PAGE(ポリアクリルアミドゲル電気泳動)はその名前の通り電気でタンパク質を移動させますので、分子が全て均一に正か負に荷電していないと移動度と分子の大きさが比例しません。そこで、SDSを用います。SDSは負に荷電した界面活性剤(せっけんみたいな化合物)で、これをアミノ酸の正に荷電した残基に結合させることで、分子すべてが負に荷電した状態にしてしまいます。これらのことで、初めて移動度とタンパク質分子の長さ(分子量)が比例するのです。 SDS−PAGEでは泳動の緩衝液にも工夫があり、濃縮ゲルと分離ゲルの緩衝液はゲル濃度だけでなく、そのpHを6.8、8.8と変えることでより効率的にサンプルを濃縮することができるようになっています。 ちなみに泳動したゲルはクマシー・ブリリアントブルーでタンパク質を検出する他、PFDF膜などに転写することで、ウエスタンブロッティングプロテインシーケンスが可能です。 われわれは、また泳動時間の著しい短縮と解像度の向上にために高速電気泳動法を開発し使用しています。  (写真=泳動後、タンパク質をクマシー・ブリリアントブルーで検出したゲル)

等電点電気泳動

  アミノ酸はそれぞれに等電点(pI)を持っており、アミノ酸からなるタンパク質もそれぞれ固有のpIを持っています。そこで、pIでタンパク質を分離する電気泳動が考えられました。この方法を等電点電気泳動と呼びます。 等電点電気泳動で、どのようにしてタンパク質が分離されるか説明したいと思います。例として、pIが5.5のタンパク質を考えます。等電点電気泳動は細長いゲルを用います。このゲルは一定の範囲でpHがグラージェントになっています。このゲルにサンプルをアプライします。そすると、タンパク質を構成するアミノ酸のアミノ残基と呼ばれる部分でそのpHに応じて電子が遊離したりくっついたりして電荷が発生します。それはタンパク質を一つの分子として見た場合でも同じ事です。pI5.5のタンパク質をゲルの塩基性の部分にアプライした場合、アミノ基の電子と結合してタンパク質は負の電荷を持ち、陽極へ引かれてゆきます。そしてpI5.5に来たときに電子の出入りが見かけ上無くなり止まるはずですが、一部はさらに陽極側へ移動してしまいます。それらはアミノ基に電子が遊離し、正の電荷を持つので逆に陰極側へ引かれpH5.5で止まりますが、一部はまた行き過ぎてしまいます。それらはまた負の電荷を得て…。そのようにしてタンパク質はpH5.5へ次第に収束します。        (写真=等電点電気泳動装置 (左が泳動ユニット、右が電源装置))


 

2D−PAGE

  等電点電気泳動(1次元目)と、SDS−PAGE(2次元目)を組み合わせた電気泳動を、通常、2次元電気泳動(2D−PAGE)と呼びます。        (写真=2次元電気泳動で分離されたタンパク質)


 

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高速電気泳動

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